白狐勾玉初詣


●月のない夜
 ――それは、年が明ける前の夜のこと。
 伏見稲荷のある稲荷山――その中でもひとが立ち入ることも無い、存在すら忘れ去られたような場所に、色褪せた朱塗りの鳥居が立ち並んでいた。
 鬱蒼とした木々を掻き分け更に歩みを進めると、その奥には古びた石造りの祠がある。と、其処で――りん、と鈴の鳴るような音が聞こえた。
 それは誰かを呼ぶような、涼やかなれど魅惑的な音色。そうして実際に導かれたのか、それとも偶々迷い込んだのか――闇夜の中で、微かな衣擦れの音が響く。
(……、……!)
 音の主は、何かに気付いたかのように息を呑んだようだった。そうして迷いのない足取りで、祠へ向かって進んでいく。
「ふ、ふ……ふははははははは!」
 ――やがて、何があったのか。哄笑が夜の山を震わせて、そうしてりんと、再び鈴の音が鳴った。

●伏見稲荷の古妖、ふたたび
 年が明けて早々に、F.i.V.E.の元へ古妖『狐神』からの依頼が持ち込まれ、有志の覚者たちは千本鳥居の先で彼の存在と再会を果たしていた。
「久しいの、其方たちはあれから変わりないか?」
 純白の尾を揺らし、威厳のある声を響かせる狐神であるが――やはりその姿はまぼろしのように儚い。しかし問題は彼女自身のことでは無く、神社そのものに関わる大事のようだ。
「実は、伏見稲荷に代々伝わる勾玉があっての。神主らの話では、つい先日盗難に遭ってしまったようなのじゃ。新年早々苦労をかけるが、其方たちにはこれを取り返して貰いたいのじゃ」
 狐神曰く、伏見稲荷には一般の参拝客が近づくことのない、聖域のような場所があるらしい。其処には石造りの祠があって、その中に勾玉は安置されていたらしいのだが――どうやら年末の慌ただしさなどもあり、侵入者に気付くのが遅れたのだとか。
「新年の初詣ともなれば、稲荷山全体にひとが溢れかえる。その中から盗人を見つけ出すとなれば、容易なことではないのじゃが」
 しかし勾玉の存在は、未だ伏見稲荷から消えていないようなのだ。なので恐らく盗人は、初詣の参拝客に紛れて近くに居る筈だと、狐神は断言した。
「それに、この子らが不審な存在を見かけたようだと、儂に教えてくれてのう」
 ゆっくりと首を巡らす狐神の先――其処にちょこんと並んでいたのは、彼女に仕える古妖の狐子たちだ。彼らはせわしなく尻尾をぱたぱたと振って、口々に有力な証言を行う。
「あのさあ、何か変なニンゲンだったぜ! 変な高笑いをしてて、初詣を楽しむぜーって屋台を目指したみたいだったぞ」
「……今年の干支。ゴリラ見たいって、言ってた」
「あたしは、恋愛運を上げるとかってぐふぐふ笑ってるのを聞いたわ。ふ、ふん! 縁結びを願うひとって結構いるのよね!」
 ――彼らの話を総合すると、何かこう、緊張感が無いと言うか。しかし、大切な勾玉が盗まれたのは事実なのだから、何とかせねばなるまい。
「……まぁ、狐子らならば、盗人が近くに居れば気配を感じ取ることが出来るじゃろう。じゃが、今は新年を祝う初詣の時期、力を使うなどして大きな騒ぎになると拙い」
 だから、どうか大事にならないように、初詣を楽しむ感じで穏便に解決して欲しいのだと、狐神は頭を下げた。狐子らの話からすると、目ぼしい場所は三か所――ならば三手に別れ、さりげない感じでひと気の無い場所に誘導し、追い詰めてみるのが良いだろう。
「神社の者へは話を通しておるから、さりげなく其方らが動き易い様に配慮してくれよう」
 そして、伏見稲荷の案内役として狐子たちも連れて行ってくれまいかと狐神は言う。どうも覚者たちと触れ合ってから、人間社会に興味を覚えたようで――それ以上に、自分たちと仲良くしてくれた皆の役に立ちたいようだ。
「それじゃあ行くぜ! 目指せ屋台全制覇!」
「……ゴリラ、見たい」
「し、仕方ないから、一緒に行ってあげてもいいわよ!」
 ――こうして賑やかな狐子たちをお伴に、新春の伏見稲荷での大捕り物が幕を開けたのだった。


■シナリオ詳細
種別:通常(EX)
難易度:普通
担当ST:柚烏
■成功条件
1.盗まれた勾玉を取り返す
2.神社に被害を出さず、且つ大きな騒ぎを起こさない
3.なし
 柚烏と申します。古妖の狐神さまから再びの依頼が舞い込んできました。今回は、伏見稲荷に伝わる勾玉が盗まれてしまった様子です。初詣を楽しみつつ、自然な感じで勾玉の奪還を頑張りましょう!

●依頼の流れ
新年の初詣で賑わう伏見稲荷を舞台に、参拝客に紛れ込んでいる盗人を捜索。さりげなさを装いひと気の無い場所に追い詰め、勾玉を取り返してください。
盗人が居ると思われる場所は以下の三か所なので、手分けして捜索に当たってください。なお一斉に行動、追い詰める場所は勾玉が安置されていた祠前となります。
1・屋台が並ぶ通り(食べ物いろいろ、大食いコンテストが開催されてます)
2・新春特設ステージ(今年の干支にちなみ、ゴリラと触れ合うイベントが。ゴリラコンテストも行われています)
3・恋愛運向上デートスポット(可愛い狐の像がお出迎え、絵馬やおみくじが売られカップル連れも多い)

●古妖・狐子×3
狐神に仕える、子狐の姿をした古妖。人間の子供の姿にも化けられます。以前F.i.V.E.の覚者にお世話になったことがあり、今回は皆さんの役に立とうとお手伝いに志願しました。伏見稲荷の案内をしたり、盗人の気配をぼんやりと感じることが出来ます。
・ケン(やんちゃな男の子。1に同行)
・ハク(マイペースな男の子。2に同行)
・コン(勝気な女の子。3に同行)

●盗人×3
勾玉を盗んだ犯人。どうやら複数犯のようで、1~3の場所にそれぞれ一人ずつ居るようです。話を聞くに、何処となく緊張感に欠ける相手のようですが、実力がどの程度なのか分かっていないので一応注意しておきましょう。

 折角ですので、初詣を楽しみつつ依頼をこなして頂ければと思います。コミカル路線で、どたばたした感じになるでしょうか。それではよろしくお願いします。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
(0モルげっと♪)
相談日数
7日
参加費
150LP[+予約50LP]
参加人数
10/10
公開日
2016年01月17日

■メイン参加者 10人■

『ファイブピンク』
賀茂 たまき(CL2000994)
『新緑の剣士』
御影・きせき(CL2001110)
『インヤンガールのインの方』
葛葉・かがり(CL2000737)
『世界樹の癒し』
天野 澄香(CL2000194)
『突撃巫女』
神室・祇澄(CL2000017)

●屋台巡りとホスト男子
 年が明けて早々――神社に代々伝わる勾玉が盗まれたとの話を受け、覚者たちは伏見稲荷へと足を運んでいた。
「……それは大変ですね。狐神、僕等にお任せを」
 儚げな姿で社に佇む狐神に向かい、『菊花羅刹』九鬼 菊(CL2000999)が恭しく一礼をする。苦労をかけるのう、と純白の尾を揺らして俯く彼女へ、彼はかぶりを振り――神様のお願いを果たすのは僕等のお仕事ですから、と大人びた口調で告げた。
「また伏見様に頼って頂けるとは、光栄の至りですわ。全力で務めを果たさせて頂きます」
 一方の『インヤンガールのインの方』葛葉・かがり(CL2000737)は、以前にも狐神の頼みごとを聞いたこともあり、今回も確りと彼女の力になろうと決意を新たにする。それに、少々賑やかだが頼もしい助っ人も居る――うん、たぶん助けになってくれる、筈だ。
「やっほー! 姉ちゃん、あけおめだぜ!」
「ケンちゃん、久し振りやね! 元気そうでお姉ちゃん安心したわ」
 ――それは、ぱたぱたと狐の耳と尻尾を振って、元気一杯に飛び込んでくる少年。彼こそが狐神に仕える狐子のひとりで、覚者たちに付けて貰った名をケンと言う。
「今回はオレらが犯人探しに協力するからな! 伏見稲荷はオレらの庭みたいなもんだし!」
「うん、頼りにしてるで。今回は伏見様もご承知のお仕事やし、楽しみつつ行こな。……もしかして、背ぇも伸びたんとちゃうか? なんてな」
 そう言って髪の毛をわしゃわしゃ撫でるかがりに、ケンはくすぐったそうに「へへー」と照れている。そうして居る姿は、普通の子供と何ら変わりなく――それでも『鴟梟』谷崎・結唯(CL2000305)は冷静に、古妖の子供の様子を観察していた。
(稲荷大社のお稲荷に会ってみたかったから来てみたが……)
 盗人ねえ、と彼女はそっと吐息を零す。犯人探しに彼が同行するようだが、やんちゃだと言う彼の世話と聞くと嫌な予感しかしない。
「とりあえず……目を離さず、いつでも首根っこを掴めるようにしておこう」
 サングラスの奥から覗く、結唯の鋭いまなざしにケンは無言の圧力を感じたようで――戯れもほどほどにして、早速犯人探しに向かおうと一行を案内し始めた。
(やんちゃな彼です。ケンがやんちゃしても止められるように、僕がしっかりしなくては)
 人混みに流されそうになりつつもはしゃぎまくるケンを、菊はきちんと護ろうと気合を入れる。一方のかがりは、『初詣を楽しむ』と言っていたという犯人の言葉を思い出し――屋台を端から順番に見ていけば、何処かで察知出来る筈だと意識を集中させた。
「ケンちゃん、怪しい人がおったらすぐ教えてな」
「おー! 姉ちゃん見て、焼き鳥売ってる! すげーいい匂いー!」
 ――が、いきなり目的を忘れかけている狐子の姿に、未だ何も食べていないのに胃薬が欲しくなったかがりなのだった。
「ああ、じゃあ僕が奢って差し上げます。でもお手柔らかに……」
 通りのあちこちから漂う香ばしい匂いに、菊もどうしようかと迷っているようだ。其処で、そんな少年たちを後ろで見守る結唯が、仕方ないといった様子で声をかけた。
「折角屋台があるんだ、私が好きなものをいくつか買ってやる」
 マジ? とケンは瞳を輝かせ、菊も年相応のあどけない顔つきになり、そわそわと屋台を見渡している。
「ぼ、僕はチョコバナナを食べたいかなっ。あとあと、焼きそばも捨てがたい……!」
 ――よし、ならば。ふたりは顔を見合わせ、そしてぐっと拳を天に突き上げて宣言した。
「「屋台制覇だ――!!」」
 どうやら菊は『屋台ッ!』と言う感じのジャンクフードの類が大好きのようだ。大食いコンテストに突撃していくふたりを、結唯は冷静に――そして、かがりは若干気圧された感じで見守り、急いで後を付けていく。
「あ! たらばがに揚げ!!? 美味しいんだろうか」
(まぁ、大食いコンテスト……も、怪しいな。『楽しむ』言う事なら、スルーする方がありえへん)
「フライドポテトも、こういう所で食べるから美味しいんです!」
 童心に戻った菊の歓声を聞きつつ、かがりもベビーカステラを一切れ食べようとすると、不意に彼女の隣から「ふはははは」とやけに尊大な笑い声が響いて来た。
「分かっているではないか少年! 揚げたてのカリカリな奴ではなく、放置されてふにゃふにゃになった芋! しかしそれが祭りの味……いつもよりお高い値段も、祭りの中で食べると言う価値を加えてのもの!」
 何だかよく分からない主張をいきなりのたまったのは、パッと見は小洒落た感じのホスト風の青年だ。どうやら彼もコンテストを満喫しているらしく、両手にイカ焼きを握りしめてもしゃもしゃと食している。
「……ん? お前、それは食べないのか?」
 と、その男が指さしたのは、かがりが持っていたトムヤンクン。ウチ、辛いモンは――と言いかけた彼女に男はずずいと近づき、その無言の圧力にかがりはいたたまれない気持ちになって、スープの容器を差し出した。
「……あの、良ければ食べます?」
「フッ、かたじけない。訳あって名は名乗れないが、貴女のことは忘れないからな!」
 そのまま一気に男はトムヤンクンを啜り、今度はたい焼きを頭から食べるか、尻尾から食べるかで悩んでいる様子。――ああ何か、色々過程をすっ飛ばして、いきなり怪しい奴を見つけてしまった。
(……不審者の気配がなんとなく分かるんだったか? もうこいつでいいと言う気がするが、気配は感じるか?)
 念の為に結唯がケンに確認を取ると、彼は狐耳をぴくぴくと動かして、間違いないと言うように頷いた。どうする、このまま捕まえるのかとケンが皆へ目配せをしたが、かがりはちいさく首を振って待ったをかける。
(すぐに突っ込んだらあかんで! むしろ、犯人に自分から罠へ飛び込む様に誘導するんや)
(なら、餌をまけばいいか)
 こほん、と結唯が咳払いをして、男に聞こえるようにこれ見よがしに――けれどさりげなさを装いつつ、軽い世間話と言った感じで話題を持ち出した。
「希少な勾玉があると言う噂を聞いたのだが」
「でも最近、大事な勾玉が盗まれたらしいわ。でも、同じ祠にまだ他の物があるんやって」
「あ、祠の手前に勾玉が落ちていたって聞きましたよ」
 結唯、かがり、菊と次々に話をしていく内、男の顔色が見る間に変化していく。この反応は間違いない、とかがりが確信した瞬間――男は「おおお」と天を仰ぎ、驚愕の表情でぶつぶつ独り言を呟いていた。
「なん、だと……この偉大な陰陽師であるオレ様が、そんな邪悪なものを見過ごしていたとは……!」
 何だか挙動不審で通報されかねない雰囲気だが、男はこうしちゃおれんとばかりに踵を返して駆け出していく。彼の向かう先は、勾玉が安置されていた祠――これは間違いない、と一行はこっそり男の跡をつけ始めた。

●ゴリラゴリラとゴリラ男
「わーっ、すごい大きな神社だねー!! さすが京都! 京都ってすごーい!!」
 ――所変わって、催し物が行われている一角では。『鬼籍あるいは奇跡』御影・きせき(CL2001110)が、両手を広げながら無邪気な笑顔を浮かべていた。
「あ、屋台もいっぱいだねー! ……あっ、今日はお仕事だから、真面目にやらなきゃね!」
 ちょっぴり照れたように頭を掻くきせきに向かって、『突撃巫女』神室・祇澄(CL2000017)も微笑んで頷く。彼女も、狐子らに会えるのは素直に嬉しかったし――実家も神社の為、このような場所にはやはり親しみを覚えるのだ。
「しかし、神社の貴重な、勾玉を盗むとは、感心しませんね。しっかりと、お灸をすえて、やらなくては」
 そんな祇澄の姿は普段の巫女装束ではなく、学園の制服だ。が、反対に『紅戀』酒々井 数多(CL2000149)は巫女のコスプレを楽しんでいるようだった。
「で、ハク君、えっと、んー……」
 彼女らについてきた狐子――ハクを見つめて、数多はちょっぴり歯切れの悪い様子で声をかける。古妖と妖は別なのだと分かってはいるのだが、どうしてもひとではないものとの触れ合いには抵抗を感じてしまうのだ。
「私、酒々井数多。ちゃんと盗人見つけるのよ!」
「……ん、わかった」
 それでも、事件解決の為には協力しなければと数多は自分に言い聞かせて、ぼんやりと人混みの先を眺めているハクに尋ねた。
「貴方、ゴリラ好きなの?」
「ゴリラ、かっこいい」
 余り表情は変わっていないが、どうやらハクはステージで行われているゴリライベントを楽しみにしているらしい。が、何ともマイペースな彼の様子に、数多は少々やりにくさを感じて苦笑する。
(そりゃ、悪い子じゃなさそうだけど……)
「ゴ、ゴリラ、ですか……」
 と、祇澄も別の意味でやりにくさを感じており、やや引き気味の様子だ。
「と言いますか、ゴリラは猿とは違うのでは……?」
「なによ! だれがメスゴリラですって?」
 色々とピリピリしている数多は、ゴリラと言う言葉にも敏感に反応してしまう。ちなみにアカデミックに言うと、ゴリラゴリラゴリラだ。
「ああ、酒々井さんのことではありませんってば!?」
「ぼく、ゴリラって檻のなかにいるやつしか見たことないから、触れ合うの楽しみー! 仲良くなれるかな??」
 一方で、早速きせきは、ハクと一緒にゴリラの所へ行こうとして――これは遊びじゃないから、もっと気を引き締めなきゃと気合を入れた。
 ――そんな訳で、ゴリラである。のっしのっしとナックルウォーキングをし、ぽこぽこと胸を叩くドラミングをする姿は神々しさすら漂わせ、新春早々有難いものを見せて頂いた、と言う感じであった。
「あ、イケメンゴリラここにいるかしら?」
 数多もまんざらではないようで、そわそわしつつゴリラを触りに行こうとしている。そして、きせきとハクはバナナ片手に、ゴリラの餌やりを体験しに行っていた。
「あっ、御影さんハクさん、そんなに近づいたら危ないですよ!?」
 遠くから祇澄が注意を促すが、イベントに連れてくるだけあってゴリラたちは人に慣れているようだ。あれ、意外とフレンドリー……と祇澄は呟いた。
「あれ?」
 ウッホウホとゴリラと触れ合うきせきは、其処で強面且つガタイのいい男が、熱心にゴリラ――その筋肉に見惚れているのに気付く。すると、ハクがちょいちょいときせきの服をひっぱり、「犯人っぽい、怪しい気配がする」とこっそり耳打ちした。
「おにーさんもうゴリラと触れ合ってみた? あんなおっきいのに、すごい優しい感じだったんだよー!」
 早速さりげなさを装ってきせきは話しかけ、無邪気な子供っぽく振る舞い警戒させないように動く。案の定男はきせきのことを怪しむ素振りは無く、少し照れた様子で話に乗って来た。
「……いいっスよね、初ゴリラ。自分もゴリラみたいな、逞しい男になりたいっす」
「この、ゴリラコンテストってなんだろー? みんなで参加してみようよー!」
 にこにこときせきが皆を誘うが、祇澄は一体何を競うのかとこっそり疑問を抱く。ゴリラらしくドラミング――いや、愛嬌含めて人気投票と言うところだろうか。
「いやはや、私にはついていけませんね……ハクさんは楽しんでくれているでしょうか?」
 と、祇澄はそっとハクの方を窺ったのだが――一体何があったのやら、彼は数多に詰め寄られていた。
「なによ! だれがメスゴリラですって? ゴリコンになんか出ないわよ! 私アイドルオーラでてるもん。メスゴリラアイドルじゃない!」
「あああ、ケンカは止めるっすよう!」
 ――何か、犯人と思しき男がおろおろと仲裁に入っているようだが、見た目の厳つさに反して温厚な性格なのだろうか。と、そんなことはさておき、早く彼を釣るべく噂作戦を決行せねばなるまい。
「そう言えば、奥の祠に、珍しい勾玉が、落ちていたそうで。祠の奥に、仕舞われたらしい、ですよ」
「ええ、勾玉がなくなったとは聞いたんですけど、最高の力を持つ陰陽師の宝の宝珠だけは無事みたいで、よかったわ」
 ここだけの話ですが、と祇澄が勾玉の話題を持ち出すと、数多もノリノリで話に加わり意味ありげな単語を口にする。そうして男の様子を横目で見遣ると、彼は耳をぴくぴくさせて、ふたりの会話を聞き漏らすまいとしていた。
「怖いですよね。うん、お客さんも気をつけてくださいね」
 ――ぴくぴくぴく。ふがふがと鼻息荒く、男は噂話に見事に食いついてきて――其処できせきが、とっておきの一言を放つ。
「あ、祠方面にゴリラ用の控えスペースがあって、そこに珍しいピンクのゴリラがいるらしいよ!」
「うおおおおおお、これは是非とも兄貴にお伝えせねばー!!」
 気のせいか、勾玉よりゴリラの話題に食いついた気がするが。とにかく男は脇目もふらず、勾玉があった祠の方へと突っ走っていった。
「……本当に、ピンクのゴリラ、いるの?」
 ――そんな中ハクも真剣な表情で、早く行こうと皆を促していたのだった。

●恋の狐とメイド少女
(祠の勾玉に手を出すなど言語道断。狐神殿の心労が案じられる)
 ふむ、と『狐子の初恋の君』木暮坂 夜司(CL2000644)は、険しい表情で初詣で賑わう伏見稲荷を見渡すが――穏便にことを運ばねばなるまい。彼ら一行が向かう先は、恋愛運アップの狐像が出迎える人気スポットで、案内をする狐子のコンはと言えば、顔を真っ赤にしてちらちらと夜司の様子を窺っている。
「元の姿では祖父と孫じゃからのぅ……こちらの方がまだ見栄えがするじゃろうて。今度は逢引きと洒落こもうぞ」
 呵々と笑う夜司は覚醒し、老人ではなく13歳の少年の姿へと変化していた。古妖と言えど、コンはまだまだ見た目相応の女の子、と言った感じで――素直になれずにさっと自分の後ろに隠れてしまう彼女を、天野 澄香(CL2000194)は微笑ましく見守る。
(コンちゃん……恋愛に興味あるのでしょうか。ふふ、やっぱり女の子ですね)
「あ、御神籤に絵馬もありますよ! 折角ですからみんなでやってみませんか?」
 着物姿で可愛らしくおめかしをした賀茂 たまき(CL2000994)は、ふんわりと微笑みながら皆を促した。折角なので楽しみながら犯人探しをしよう、と言うのが皆の意見で、盗人もこっちに来たなら遊んでいる筈と百道 千景(CL2000008)も頷く。早速らぶらぶな感じのピンクの綿菓子を買った彼女は、その内の片方をコンに差し出した。
「コンちゃんも食べる?」
「あ、ありがと……っ!」
 女の子同士でわいわい楽しむと言う経験が初めてのコンは、ちょっぴりそわそわしながら綿菓子を受け取り、面倒見の良いお姉さんと言った感じの千景たちに徐々に懐いていったようだ。
「暫く会わぬ間どうしておった? 母御や兄弟とは仲良くしておったか。息災だったならば何よりなのじゃが」
「あ、あたしは元気だったわよ! その、秋祭りの時に狐神さまへ買ったお土産も渡せたし……と、とっても喜んでいらしたわ!」
 ああ、いざ顔を合わせると、どう接していいのか分からないのが歯がゆい。う、とコンは狐の尾をへたりと垂らして俯いて。けれどそんな彼女の態度をちゃんと見抜いていた夜司は、御神籤を引いてみないかと、そっとコンの手を引いた。
「どれ、儂は……中吉じゃな」
「え、えっと……う?」
 ぺらりとコンが開いた御神籤は、印刷ミスか何かか――何と白紙。古妖に未来はないのか、否、神社のスタッフが手を抜いたんだと、彼女はぷるぷると必死で強がっていた。その目まぐるしく変わる表情、仕草のひとつひとつが、夜司に孫娘の姿を思い出させ――彼は穏やかに微笑んで呟く。
「……こうしておると、死んだ婆さんと伏見稲荷に来た若き日を思い出す」
 身分差故に反対されたが、大恋愛の末にふたりは結婚――けれどその伴侶も、生まれた息子も既に亡く、夜司ひとりが遺された。
「……否、愛する孫や先行きを見守りたいF.i.V.E.の仲間がおる。一人ではなかったの」
 どう声を掛けたら良いのか分からなくなり――ヨルジ、とコンは複雑な表情で、ただ彼の名を呼ぶ。其処で彼女に心配をかけてしまったことに気付いた夜司は、縋るように伸ばされたコンの手を、そっと握りしめた。
「それに……コン、おぬしもおる。今生の縁に恵まれて幸せ者じゃよ、儂は」
「そ、そうよ! 伏見の狐が見守ってるんだから、これから先だって素敵なことが待ってるはずよ! だからその……もう満足、みたいな気持ちにならないで、もっともっと我儘になりなさいよね!?」
 ――それは、彼女なりの励ましのつもりだったのだろう。夜司の手をぶんぶんと振ってコンは早口でまくしたて、皆と一緒に絵馬に願い事を書き始めた。たまきは大好きな人たちの恋愛成就を願ったようだが、自身の願い事はどうなの、と千景が肘でつつく。
「……わ、私の願い事は、別の機会にお願いする事にしますね!」
 はわわ、と慌てふためくたまきの、着物の袖から覗くのは御守りだろうか。うふふーと千景が微笑む中、少し離れた一角では、澄香がそっと絵馬に願いをしたためていた。
「もう少し、あの人に釣り合えそうな大人な姿になれますように」
 とうに自分は成人しているのだが、己の外見が中学生に見られることは自覚している。その所為もあって、子供扱いされている気はするし――あの人にとって自分は、そう言う対象じゃないと思うのだけれど。
(けど、想うのは自由ですよね)
 ――御神籤の結果は小吉。何をするにせよ、これから次第とのお告げが出た。密かに澄香は決意を新たにし、一方で御神籤の内容を見せ合っていた千景とたまきは、お互いに大吉を引き当ててびっくりしているようだ。
「あ、でも書いていることは少し違いますね」
「ほんとだー。あたしの方は、恋愛運急上昇……素敵な出会いがあるかも、だって!」
 御神籤を広げてみせる千景に、その時不意に誰かがぶつかった。「わ」と転びそうになった彼女を支えたのは、華奢だけれど――確りとした力強い腕。
「あ、ごめんなさ……!」
「ふぅ……もうちょっと周り見て歩きなよ?」
 滑らかなアルトの声の持ち主は、可愛らしいフリルのメイド服を着た美少女だった。肩で切りそろえた黒髪はさらさらで、まるで人形のような子だと千景は思う。
(ちょっと、このひと! 勾玉を盗んだ犯人の気配がするわ!)
 ――が、横合いから厳しい顔をしたコンが注意を促し、千景は驚いた様子で瞳を瞬かせた。
(緊張感に欠ける、との事でしたが……少し浮いた存在の方と言えばそうなのかも……)
 たまきも少女をそっと観察しつつ、ううむと唸る。あまり悪い人ではなければ良いとは思うが、変に動揺せずに落ち着いて接しなければ。
「えーと、おねーさんお一人ですかー? お互い今年の景気付けって事で一緒にどうです??」
 それでも見つけた標的を逃すまいと、千景はうっしっしと怪しい笑みを浮かべて少女の腕を取る。
「折角こういうトコ来たし! へへー。なかなかかわいい子揃えてますぜ」
「ふーん、君って面白いね。僕は別に構わないけど。可愛い子好きだし?」
 どうやら千景の軽口を、少女は気に入ったようで――くすっと小悪魔っぽく微笑み、リップを塗った唇に指を乗せた。
「ナンパしてきたオトコを引っかけて遊ぼっかなって思ってたんだけど、まさか女の子から声かけられるとは思ってなかったよ。……ここのお狐さまって、本当にご利益あるみたいだねー……ぐふふ」
 ――ちょっと待って。いま美少女が、ぐふふとか言って笑ったぞ。犯人がぐふぐふ笑ってるとは聞いていたが、まさか直にその声を聞くことになろうとは。九十年生きた夜司の眼力に頼るまでもなく、これでまるわかりであった。
 だが、脱力している暇はない。噂話作戦で犯人を祠へとおびき寄せるのだ!
「あちらの祠の方でも、恋愛に特別な効果のあるお守りが売ってるらしいですね」
「先刻、祠前に勾玉が落ちていたが、あれはなんじゃろうな?」
 ぽんと手を叩き、思い出したように澄香が言うと――夜司も話を合わせ、犯人が何か見落としたのではないかと思わせる作戦に出る。誰かがその特別なお守りを落としたのではと首を傾げる澄香へ、たまきは不安を煽るように声をひそめた。
「此処で売っている物なのでしょうか? それとも誰かの落とし物だったのでしょうか……?」
「超不思議パワーMAXって感じだったけど、あれなんだろうね? なんかゴリヤクありそーだし、ちょっと見に行ってみる?」
 そして、千景がこれ見よがしに何かあるぞとばかりに歓声をあげると――少女は顔色を変え、ちょっと失礼と言ってそそくさとその場を離れていく。彼女の向かう先は、間違いない。――勾玉の祠だ。
(刑事さんも言っていました。犯人を見つけても、少し泳がせておくのが、捜査の鉄則だって!)
 笑顔でたまきがガッツポーズを決め、一行はこっそりと少女の後を追いかけ始めた。はぐれぬようコンと手を繋いだ夜司は、先程願いを書いた絵馬についてぽつりと口にする。
「儂の願いは……『家内安全、健康長寿』じゃった。もう一つ、古妖と人との絆が深まるようにとも記したのじゃが……」
 ちと欲張りすぎかの、とおどけてみせた彼へ、コンはくすっと笑って――伏見の狐が願いごとを断るなんて、おかしいでしょと照れたように顔を逸らした。

●勾玉奪還と古妖の縁
 ――いつしか日は暮れ、鉛色の空はうっすらと茜色に染まっていく。次第に薄闇が忍び寄り、現と幻の境界を曖昧にしていく中、稲荷山の外れに幾つかの足音が響いていた。
 草を掻き分け、色褪せた鳥居を幾つも潜って。やがて辿り着いたのは、何時頃から存在するのかも知れぬ石造りの祠――。
「あ、何だ、お前らもここに来たのか?」
「兄貴ー! 会いたかったっす!」
「……変な噂聞いたから、僕は戻ってきたんだけど」
 顔を見合わせるのは、勾玉を盗んだと思しき犯人たち――それはホスト風の青年に厳つい男性、そしてメイド姿の少女だった。
「……待てよ。オレは勾玉がまだここにあると聞いたんだが、もしかしてお前らもか?」
「ピンクのゴリラも居るみたいっスよ!」
 と、ゴリラの話はともかく、全員が同じ噂を聞きつけ祠に戻って来たとなると雲行きが怪しい。青年が端正な顔を歪ませて辺りを見渡したその時、彼らを取り囲むように物陰から姿を現わしたのは――F.i.V.E.の覚者たちだった。
「そこまでです。罪状は言わなくてもお分かりでしょう? 大人しく投降すれば怪我はしませんよ」
 凄みを利かせて一歩を踏み出すのは菊。たまきも術符を取り出しつつ覚醒――いろを変えた髪と瞳を見て、彼らは能力者と対峙していることを悟ったようだ。同時にこの者たちこそが、初詣で自分たちに接触してきた存在であることも。
「……ふん、いきなり喧嘩腰ときたか。別にオレ達は悪事を働いている訳ではない。妖からこの地を守る為に活動しているのだ!」
 ばっ、と格好良いポーズを決めながら、ホスト風の青年が朗々とした声を響かせる。どうもしらを切っている訳ではなく、心の底からそう思っていると言う素振りに――静かに怒りを募らせた夜司が、カッと一喝した。
「このたわけた盗人どもめが! 狐神殿に陳謝せよ」
「あなた達、ここから勾玉を盗んだでしょう? 返して下さいな」
 いつでも術式を発動出来るように備えつつ、にっこりと微笑む澄香の目は笑っていない――ぶっちゃけると黒い。どうしてこんな事をしたのでしょうと問う彼女へ、青年は「何を」と言わんばかりに首を振った。
「そんなことは決まっている。稲荷山はもののけが住む恐るべき山……人間に災厄を招く妖怪どもの手にある怪しい品を奪い、奴らの力を削ごうと思ったのだ!」
 ――もしや、そのもののけとは狐神たちのことだろうか。どうやら目の前の青年たちは、古妖がひとに危害を加える邪悪な存在であると、信じて疑っていないようだ。まあ、妖と古妖を混同している者も多いし――古妖と一口に言っても、友好的なものから敵対的なものまで色々居る訳なのだが。
「……まぁ、ぶっちゃけると。新年のカウントダウンに備えてこっそり山登りしている内に、ここを見つけただけなんだけどさ」
「アリス、余計なことを言うな!」
 メイド少女がやれやれと溜息を吐くや否や、速攻でホスト青年のツッコミが飛ぶ。こほん、と咳払いをして仕切り直し、青年は「どうだ!」とばかりに胸を張った。
「そんな訳で、この品がどんなものかは分からんが、このまま此処に置いておけば良からぬことが起きる筈……なのでオレが、古妖やら妖やらの手の届かぬ場所で、始末するつもりだったと言う訳だ」
「で、あんたたちは誰の命令でその勾玉盗んだわけ?」
 それでも数多は追求の手を緩めない。しかしその問いに青年は、心外だとでも言うように首を振った。
「フッ……オレ達は誰の命も受けない。そう、己自身の意思で動いているのだ!」
「基本いきあたりばったりだけどね、それに付き合う後輩の身にもなって欲しいんだけど」
 再びアリスの横槍が飛ぶが、今度は青年も華麗にスルーをする。色々と突っ込む点はあるが、彼らも一応信念に基づいて行動をしているようだ――なら、このまま言い争っても平行線を辿るだけだろう。
「多勢に無勢だから、抵抗はやめたほうがいいよ」
 やんわりときせきが投降を促すが、彼らはかぶりを振って、おもむろに構えを取る。適当に脅してやるかと思っていた、結唯の殺気にも堪えた様子が無い。
「ふん、古妖と思しきガキんちょを連れた奴らの言うことなど、聞けると思うか?」
「……3対10、勝てると思う? 私達それなりに強いわよ」
 刀を振るい、近くの石垣を難なく斬り捨てる数多――しかしそれでも、彼らの態度が変わることはなかった。先ずアリスの腕が器物に変じ、彼女は遠慮もなしに機関銃を一気にぶっ放す。
「そっちも覚者!? うええ! なんで! か弱い女子供狙うなんてヒキョーだよ!」
 痛いのはノーサンキューとばかりに千景は悲鳴をあげるが、アリスはくすくすと笑ってウインクした。
「だって、それなりに強いんでしょ? あ、一応僕、男だから。でもふつーに女の子好きなんで、僕の獲物になってね」
「うおおおおおお!」
 一方、厳つい大男は精霊の力を顕現した様子で――彼は数多の刀と菊の鎌を受け止め、その勢いのまま殴りかかってくる。
「リキヤも適当に揉んでやれ、……フッ、まさか能力者相手に陰陽の術を振るうことになるとはな」
 そしてホスト青年は、髪と瞳の色を瞬時に変えて。植物の蔓を鞭のように操り、強烈に獲物を打ち据えてきた。――速い。此方が動くより先に傷を負わされ、祇澄が膝をつく。
「……危ないから、僕の後ろに隠れていてください」
 しかし其処で、狐子を庇った菊の姿に青年は眉根を寄せた。見れば古妖の子供たちは震えており――そんな彼らを励ますように、勇気づけるように、目の前の覚者たちは前に立って此方と対峙しているのだ。
「……正気か? 何故、古妖などを庇う?」
「私もね、妖は嫌いよ。正直古妖だって同じようなものだと思ってる」
 訝しげに尋ねる青年へ、数多が返した。不安そうな顔でこちらを見上げる狐子――ハクへ微かに微笑みながら。
「けど、狐子たちは普通に祭りを楽しんでる。言葉が交わせる。邪悪なのもそりゃ多いかもだけど、そうじゃないのがいるのも知ったんだもの」
 ぐ、と言葉に詰まる青年へ、たまきが優しい声音で告げた。この祠へ借りていたものを返して頂けないか、と。
「その勾玉は、伏見様の大事なもんや。返されへんかな?」
 かがりも、それが無くなって困っている者が居るのだと、諭すように頼み込み――それから夜司の後ろでぎゅっと目をつむって震えているコンの姿を見て、青年は「うああ」と叫ぶように髪を掻いた。
「何故だ、これだとどうみてもオレ達が悪役ではないか! 人々を守護する偉大な陰陽師が、こんな仕打ちを受ける訳にはいかんのだ!」
 そしてスーツのポケットから白い石のようなものを取り出して、かがりに向かって放り投げ――仲間ふたりに撤収の合図をかける。
「……あの、そんなことなら、ウチらにも協力出来るかもしれへんけど……」
「古妖と仲良くしているような奴らと協力など出来るか! 今日の所はこれで勘弁してやる……だが覚えておけ、オレ様の名は土御門玲司……この国を救う、偉大な陰陽師の転生なのだ!」
 ――はあ、つちみかどさん、とかがりは呟いた。どうやら前世持ちのようだが、偉大な陰陽師の転生云々は自称だろう。
 そんなこんなでどたばたしている内に盗人3人――玲司にリキヤ、そしてアリスは姿を消して。地面にはぽつんと、純白の勾玉が夕陽を受けて淡い輝きを放っていたのだった。

 ――こうして無事、勾玉の奪還は成功した。犯人が邪悪なものだと思い込んで勾玉を奪ったことには、狐神もやれやれと言うように苦笑をしていたのだが――無事に事件が解決したことに、ほっとした様子で吐息を零す。そしてゆっくりと、彼女はF.i.V.E.へこの勾玉を預けると告げたのだった。
「今のそなた達ならば、この勾玉を使いこなすことが出来よう。我ら古妖との縁も、更に深まったようじゃしな」
 現時点では未だ、勾玉の使用方法は分からない。しかしF.i.V.E.に持ち帰り研究をすれば、何か見つかるかも知れない。確かな手応えを感じつつ、一行は伏見稲荷を後にする――と、その前に。
「そうだわ、私、カメラ持って来たんです。良かったらみんなで記念写真撮りませんか?」
 澄香が狐神や狐子たちも誘い、今日一日の記念にと笑顔でシャッターを切る。ほう、と珍しそうにカメラを見つめる狐神へ菊が膝を折り、どうか自分たちF.i.V.E.の幸先を祈願して欲しいと願い出た。
「僕等はどうやら、トラブルを吸い込む吸引機みたいな存在のようですから」
 ――だからせめて、未来が明るいものになりますように、と。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
『伏見稲荷の記念写真』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員